メーカーのホームページやカタログなどに載っている車のスペック表『主要諸元表』の見方を解説しています。
よっぽどの車好きの方でないと諸元表の数字を全て読み取れる方は少ないですが、少しでも書かれているスペックを理解できるようになれば、車選びが今までよりもぐっと楽しくなります。
特に車に詳しくない方が車を選ぶ際に「気にしてチェックした方がいい項目」「特に気にかけなくても大丈夫な項目」と分かるようにしています。
車名、車両型式
車の名前というと一般的には、クラウン、カムリ、ヴェゼル、N-BOXなどの名称を思い浮かべますが、実はこれらはペットネームといって愛称みたいなものです。
正確には車の名前は、車名+型式で表されます。(車検証など)
車名とは、トヨタ、ホンダなどのメーカー名のことをいいます。
型式とは、DAA-AXVH70、DAA-RU3など、アルファベットと数字で構成された車種やモデルを示す記号です。
車に詳しい人は型式を聞いただけでどの車種のどのモデルかまで分かる人もいますが、普通の人が特に覚えたり気にしたりしないといけないものではないです。
ただ自動車保険の申し込みなどで型式を記入しないといけない場合もあります。
グレード
同じ車種でもグレードによってスペックが変わってくることも多いため、スペック表ではグレード毎に分かれて記載されています。
グレードって何?という方は以下の記事をご覧ください。
寸法・重量・定員
全長×全幅×全高
車の大きさを表すサイズです。
駐車場に入れられるかどうかや乗り心地にも関わってくる重要な項目です。
車のサイズと排気量が一定基準以下のものは、軽自動車や小型自動車(5ナンバー車)に分類されます。
全長・全幅・全高・排気量の4つの内、1つの項目でも基準を超えると普通自動車(3ナンバー車)となります。
寸法 | 排気量 | |
小型自動車 (5ナンバー) |
全長:4.7m以下 全幅:1.7m以下 全高:2.0m以下 |
2,000cc以下 |
軽自動車 | 全長:3.4m以下 全幅:1.48m以下 全高:2.0m以下 |
660cc以下 |
全長
車の前方から後方までの長さを表します。
長いほど室内は広く快適になりますし、直進安定性など走行性能もアップしますが、小回りはきかなくなります。
全幅
車の横幅です。
ドアミラーの寸法は含まれていないので注意しましょう。
全高
全高は車の高さで、車高とも言います。
可倒式や脱着式のアンテナは含まれず(たたんだ・取り外した状態)、地面からボディ(屋根)の一番高い部分までの高さを表します。
ただし、最初から装備されているルーフレールは含まれます。
全高が1,550mmを超えると利用できない立体駐車場が増えますので注意が必要です。
室内長×室内幅×室内高
室内の広さを表すサイズです。
ボディサイズの計測方法には公式の基準がありますが、室内寸法の計測方法はメーカーや車種によって微妙に異なります。
一般的には、室内長はインパネのもっともでっぱった部分から、最後列のシートの後端までの長さです。
室内幅はもっとも広い部分、室内高はもっとも高い部分となっています。
ただし、インパネのもっともでっぱった部分は具体的にどこなのか、最後列のシートの後端とは、ヘッドレストなのかシートなのか、リクライニングはどの位置なのか等、細かい違いがあありますし、足元の広さや天井の高さなど、実際に乗ってみないとなかなか感覚的に分かりづらいものです。
室内の広さは数字だけではなく、実際に乗って確認することをおすすめします。
最低地上高
平らな場所に車を置いて地面から車両の一番低い部分まで高さのことです。
車両の一番低い部分とは、フロア部分のことではなく、マフラーやエアロパーツ、オイルパンなどになりますが、車種によってマチマチです。
セダンやクーペなど最低地上高が低いと車の重心が低くなり走行安定性が高くなります。
ただし、雪道や凹凸の激しい悪路などの走行性能が落ちます。(地面が車両に接触して破損するリスクがある)
反対に、最低地上高が高くなると雪道や悪路などでの走破性が増しますが、高速道路などでスピードを出したときの走行安定性が落ちます。
オフロードの走破性を重視したSUVなどでは、最低地上高は高めとなっています。
セダンやクーペの最低地上高は100mm~175mm程度、SUVだと160mm~265mm程度の車が多いです。
ホイールベース
前輪の中心軸から後輪の中心軸までの長さのことです。
ホイールベースが長いほど、揺れが小さくなり直進安定性が高くなりますし、車内空間が広くなり乗り心地も良くなりますが、車体サイズが長くなり小回りが効かなくなります。
反対にホイールベースが短いと小回りが利くので街中での乗り心地が良くなります。
ただし、高速道路などでの走行安定性が落ちます。
また、ホイールベースの外側をオーバーハングといい、前輪中心軸から車の前端までをフロントオーバーハング、後輪中心軸から車の後端までをリヤオーバーハングと言います。
最近の軽自動車やコンパクトカーはボディサイズはできるだけ小さく、それでいて走行安定性は高く、室内空間は広くというニーズに応えるため、ホイールベースを長くしつつ、オーバハングを極力少なくする傾向にあります。
トレッド
トレッドとは、左右のタイヤの距離のことを言います。
計測点は左右のタイヤの中心です。
左右のタイヤが離れている(トレッドが大きい)ほど、カーブでのタイヤの踏ん張りが利きコーナリングが安定しますが、小回りは利かなくなります。
反対にトレッドが小さいとハンドルをいっぱい切ることができ小回りが利きます。
車両重量・車両総重量
車両重量とは、ドライバーも含め誰も乗っておらず、荷物も積んでいない状態で、燃料を満タン、オイル・冷却水なども規定量入った、すぐに走行可能にした車両の重さのことです。
(スペアタイヤや工具は含まれません。)
車両総重量とは、上記の車両重量に乗車定員いっぱいの乗員が乗った状態の重さです。
※体重は1人あたり55kgで計算
乗用車では荷物は積んでいない状態ですが、トラックなどの商用車では乗車定員いっぱいの乗員プラス、最大積載量を足した重さとなっています。
車の重さは軽い方が燃費も良くなりますし、加速やブレーキなど走行性能も良くなりキビキビ走れるようになります。
ただし、軽すぎると横風に煽られたり、高速道路などでの走行安定性が落ちますし、ボディの剛性・安全性にも関わってきます。
また、車両重量によって、自動車購入時や車検時に支払う「自動車重量税」の税額が変わってきます。
乗車定員
車にはその車に何名まで乗っていいか定員が定められています。(運転手を含む)
軽自動車は4名まで、普通自動車だと4~8名程度が一般的です。
なかには、ダイハツのミゼットやトヨタのコムスなど、1~2人乗りの超小型自動車、9~10人乗れるトヨタのハイエース、日産キャラバンなどもあります。
(普通免許で運転できるのは10人乗りまで)
乗車定員を超えた状態で車を運行させると、道路交通法により「定員外乗車(定員オーバー)違反」となり、減点・反則金(罰金)となります。
車種 | 反則金 | 違反点数 |
大型車 | 7,000円 | 1点 |
普通車 | 6,000円 | |
二輪車 | 6,000円 | |
小型特殊車 | 5,000円 | |
原付 | 5,000円 |
ただし、12歳以下の子どもの場合は、3人で2人として計算します。
たとえば、乗車定員4名の軽自動車の運転席と助手席に大人2人、後席に子ども3人、計5人乗せることも可能です。
道路交通法の改正により後席のシートベルトも義務化されていますが、この場合のシートベルトは数が足りなくなるため免除されます。
エンジン
(エンジン)型式
特に共通の基準があるわけではなく、それぞれのメーカーが独自の基準でエンジンを識別するために付けている記号で、アルファベットや数字で構成されています。
一般の人が自動車購入時に特に気にかける必要はありません。
(エンジン)種類
「水冷直列4気筒DOHC横置」とか「V型6気筒DOHC」とか色々書いてあると思いますが、基本的には気にしなくて大丈夫です。
軽自動車だと「直列3気筒DOHC」、普通車だと「直列4気筒DOHC」が一般的で、直3エンジン、直4エンジンなどと略されます。
「V型6気筒DOHC」「V型8気筒DOHC」などはV6エンジン、V8エンジンなどと略され、排気量の大きい高級車に多く採用されているエンジンです。
総排気量
排気量の単位はccやL(リットル)で表記され、簡単に言うと「エンジンのパワー」を表します。
一般的には排気量が大きいほど、加速力がありスピードの出る車となります。
ただしその分、燃費が悪くなります。
軽自動車は660cc以下と定められています。
コンパクトカーで1,500cc以下くらい、普通車で1,800~2,500cc程度、高級車になると3,000cc以上などが一般的です。
排気量が大きいほどパワーがあることは確かですが、自動車がよく走るかどうかはボディの重さも重要です。
排気量の大きいエンジンを積むためには頑丈で重いボディも必要になってきます。
実際、軽自動車は660ccという小さな排気量ですが、ボディが軽いためキビキビとよく走ります。
要はバランスが重要です。
車の排気量による違いや選び方のポイントなどは以下記事を見てみてください。
内径×行程、圧縮比
内径×行程はボア×ストロークと表記されていることもあります。
エンジン内部のシリンダーというパーツの大きさを表すもので、エンジンの扱いやすさに影響しますが、特に気にしなくても大丈夫です。
圧縮比は、数字が大きい(圧縮比)が高いほど効率の良いエンジンとされる傾向がありますが、こちらも特に気にしなくてOKです。
最高出力、最大トルク
エンジンの性能を示す上でもっとも重要な指標が「最高出力」と「最大トルク」です。
ですが、なかなかすぐに理解するのは難しい指標なので、ものすごく簡単に説明すると、「最高出力」は「その車がどれだけ速く走れるか」、最大トルクは「その車がどれだけ加速力があるか」という感じです。
最高出力と最大トルクについてもっと詳しくは以下記事をご覧ください。
使用燃料
使用燃料には、「無鉛レギュラーガソリン」「無鉛プレミアムガソリン」「軽油」の3種類あります。
「無鉛レギュラーガソリン」は普通のレギュラーガソリン。
「無鉛プレミアムガソリン」はハイオク。
「軽油」はそのまま軽油です。
燃料価格は、軽油 < レギュラー < ハイオク の順に高くなっていきます。
維持費に関わってくるのでしっかり確認するようにしましょう。
燃料供給装置
エンジン内で燃料をうまく空気に混ぜるための噴射装置の種類を表します。
燃費や排気ガスのクリーンさなどに関わってきますが、専門的な所なので特に気にしなくても大丈夫です。
燃料タンク容量
これはそのままですね。
燃料タンクにどれだけ入れられるかどうかです。
容量が大きい方が給油回数を少なくすることができますが、燃料の重さも燃費に関わってきます。
モーター・電池(ハイブリッドのみ)
ハイブリッドカーの場合、通常のエンジンに加えて電気で動くモーターやバッテリーが付いています。
モーター
「型式」「種類」「最高出力」「最大トルク」などが掲載されていますが、エンジンと同じく「型式」「種類」は気にする必要はありません。
最高出力、最大トルクについて詳しくは下記記事を参考にしてください。
電池(バッテリー)
ハイブリッドカーのバッテリーには「ニッケル水素電池」と「リチウムイオン電池」があります。
リチウムイオン電池の方が小型、軽量で高性能ですが高価です。
ニッケル水素電池は、大型で重く、充電を繰り返すと容量が減っていくメモリー効果があるなど性能は低いですが、安価です。
性能
燃料消費率
燃費です。
単位は「km/L」で表記され、燃料1リットルで何km走ることができるかを表します。
各メーカーとも国土交通省が定めている「JC08モード」という共通の基準で計測しています。
以前の計測方法である「10・15モード」よりは実際の走行時のパターンに近づいたものの、エアコンはオフでハンドル操作もない等、特殊な環境下での計測となるため、実際に走行した時の燃費とは差があります。
スペック上での燃費をカタログ燃費、実際の燃費を実燃費と言って区別され、カタログ燃費の6~8割程度が実燃費になることが多いです。
主要燃費向上対策
燃費を良くするためにどのような技術が搭載されているかが掲載されています。
特に気にする必要はありません。
良く掲載される項目には、「ハイブリッドシステム」「アイドリングストップ」「アトキンソンサイクル」「可変パルプタイミング」「ロックアップ機構付き」「電動パワーステアリング」「自動無段階変速機(CVT)」などがあります。
最小回転半径
どれだけ小回りが効いて取り回しがしやすいかの指標となる数字です。
停車している状態から左右どちらかに目一杯ハンドルを切ってUターンした際に描かれる半円の半径を表します。
軽自動車でだいたい4.3~4.7m程度、普通自動車で5.3~5.9m程度が一般的です。
動力伝達・走行装置
駆動方式
エンジンからの力が伝わるタイヤがどこにあるかを表します。
主に、前輪駆動(FF)、後輪駆動(FR)、4輪駆動(4WD)の3種類あります。
(スバルなど一部メーカーでは4輪駆動をAWD(全輪駆動)と表記していますが、基本的には同じ意味です。)
正確に言うと、FFやFRというのは、前のアルファベットがエンジンの位置、後ろのアルファベットが駆動輪を表しており、FFはフロントエンジンフロントドライブ、FRはフロントエンジンリアドライブの略です。
中には、エンジンが車の中央付近に積まれている「MR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)」、エンジンが車の後方にある「RR(リアエンジン・リアドライブ)」の車もありますが、スポーツカーやバスなど少し特殊な車で使われている駆動方式で、一般的な大衆車では見かけません。
駆動方式の種類やそれぞれの特徴や違いについては以下記事をご覧ください。
トランスミッション(変速機)
トランスミッションには、大きく分けて、マニュアル(MT)とオートマチック(AT)があります。
免許を取るときに、MTかオートマ(AT)限定か選んだと思いますがあれです。
トランスミッションは、エンジンとタイヤの間にあり、エンジンの力をどのようにタイヤに伝えかを切り替える働きをしています。
切替を手動でやるか、車に自動でやってもらうかの違いですね。
4AT、7MTなど前に数字が付く場合は、何段階の切替があるかどうかを示しています。
最近の車はほとんどATなので、車好きで運転を楽しみたい!という人以外あまり気にする項目ではないですが、ATには、トルクコンバーター、CVT、DVTなどいくつか種類があり、運転感覚や燃費などが変わってきます。
トランスミッションの種類やそれぞれの違いについてもっと詳しくは以下記事をご覧ください。
変速比、減速比
変速比や減速比はトランスミッションの性能を示しており、車の加速や減速など走行性能や運転の感覚などに大きく関わってくる項目です。
とはいえ、普通の人が変速比や減速比の数字を見て、車の走行性能を理解することは難しいので、特に気にしなくてOKです。
ステアリング装置形式
車のハンドルを回すと、それに応じてタイヤが動きますね。
そのステアリングシステムにどのような仕組みを採用しているかを示します。
ですが、現在のステアリング形式は「ラック&ピニオン式」がほぼすべてとなっているので、特に気にするポイントではありません。
サスペンション
サスペンションは車のボディとタイヤの間にあり、道の凸凹からの衝撃を吸収して乗り心地をよくしてくれる働きをしています。
サスペンションには、トーションビーム、ダブルウィッシュボーン、マクファーソン式など色々な種類があります。
乗り心地はサスペンションだけで決まるものではありませんが、サスペンションについて少しでも知っておくと、車選びが少し楽しくなります。
サスペンションの種類とそれぞれの違いについては以下記事をご覧ください。
ブレーキ
ブレーキは、車を減速したり止めるための装置で、ブレーキの種類を大きく分けるとドラム式とディスク式に分かれます。
特に気にする必要はありません。
実際に試乗してブレーキの感覚を確かめるようにしましょう。
タイヤ
「215/60R16 95H」のような数字とアルファベットで、タイヤのサイズ(幅、扁平率、インチ等)が表記されています。
詳しい説明はここでは省略しますが、タイヤは車の走行性能や燃費、コーナリングのしやすさ、乗り心地などに大きく関わってきます。
車種によってはグレードによってタイヤサイズが変わってくるものもあるので、タイヤについては少し詳しく知っておくと車選びが楽しくなります。
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