日産セレナの安全性能・安全装備について、国土交通省所管の独立行政法人「自動車事故対策機構(NASVA)」での安全評価試験をベースに評価しています。
標準装備やメーカーオプションの安全装備の解説もしています。
セレナの安全性ってどうなの?と気になっている方はご覧ください。
公的機関によるセレナの安全性能評価
独立行政法人「自動車事故対策機構(NASVA)」が実施している自動車の安全性能試験の講評結果からセレナの安全性能について見てみましょう。
自動車アセスメント(衝突安全性)
試験車両について
試験車 |
セレナ ハイウェイスター / スズキ ランディ |
発売 | 2016年8月 |
型式 | DAA-GFC27 |
排気量 | 1,997cc |
車両重量 | 1,650kg |
全長×全幅×全高 | 4,770×1,740×1,865mm |
その他仕様 | ミニバン、CVT、FF、8人乗り |
タイヤ | 195/65R15 |
試験車両重量 | フルラップ:1,882kg オフセット:1,882kg 側面:1,764kg |
総合評価 : ★★★★★ 175.8点 / 208点
総合点の内訳は「乗員保護性能評価」「歩行者保護性能評価」「PSBR評価」の3つに分かれています。
平成28年度自動車アセスメントの衝突安全性能評価で、セレナは総合点175.8点となり、星5つの最高評価「ファイブスター賞」を獲得しています。
総合170点以上で星5つとなり、安全性能総合評価の最高評価として自動車事故対策機構より「JNCAPファイブスター賞」を授与されます。
平成28年度のファイブスター賞受賞車種は、セレナ以外にも、スバル インプレッサ、トヨタ プリウス、トヨタ パッソ、ホンダ フリードがあります。
乗員保護性能評価 : 90.70点 / 100点
乗員保護性能評価は「フルラップ前面衝突試験」「オフセット前面衝突試験」「側面衝突試験」「後面衝突頚部保護性能試験」の4つの試験が実施されています。
フルラップ前面衝突試験
ダミー人形は身長175cm、体重78kg(付属物を含めた試験時の質量は約85kg)となっています。
運転席 | レベル4 / 5 | 9.57点 / 12点 |
助手席 | レベル5 / 5 | 11.57点 / 12点 |
セレナでは、日産が誇るセーフティゾーン(高強度キャビン)とクラッシャブルゾーン(衝撃吸収ボディ)によるゾーンボディ構造を、さらに進化させたコンパティビリティ対応ゾーンボディを採用しています。
動画で分かるように前面衝突の場合、前方の衝撃吸収ボディはクシャクシャに潰れていますが、人が乗っている高強度キャビンはほとんど変形していません。
ダミー人形に対するダメージも非常に少なく、運転席レベル4、助手席レベル5と高い安全性が実証されています。
オフセット前面衝突試験
参考)運転席のダミー人形はフルラップ前面衝突試験と同じ。後部座席は大人の女性(身長150cm、体重約49kg(付属物を含めた試験時の質量は約54kg)となっています。
運転席 | レベル4 / 5 | 9.94点 / 12点 |
後席 | レベル4 / 5 | 10.48点 / 12点 |
オフセット衝突になるとさすがに運転席へも変形が見られ、フルラップ前面衝突よりもダミー人形へのダメージも大きくなっています。
とはいえ、運転席、後席ともにレベル4と高得点を出しています。
車体も吹き飛んではいるものの軽自動車のようにひっくり返るようなことはなさそうです。
側面衝突試験
ダミー人形は身長170cm、体重約72kg(付属物を含めた試験時の質量は約78kgの大人の男性を模擬したものとなっっています。
運転席 | レベル5 / 5 | 12点 / 12点 |
側面衝突では車体は横転しまっているものの、ダミー人形へのダメージは非常に少なく満点の12点でレベル5となっています。
ただし、試験車両に搭載されているサイドエアバッグは標準装備ではなく、メーカーオプション(セーフティパックA・B)なので、グレードによっては装備できないので注意。
後面衝突頚部保護性能試験
運転席 | レベル5 / 5 | 10.98点 / 12点 |
助手席 | レベル5 / 5 | 10.98点 / 12点 |
運転席、助手席ともにレベル5と非常に安全性が高くなっています。
セレナでは運転席と助手席に「アクティブヘッドレスト」が採用されており、追突された際、瞬時にヘッドレストが前上方向へ移動することで、頭部が過度に後ろに追いやられることを防ぎ、首へかかる負担を軽減しています。
歩行者保護性能評価 : 75.06点 / 100点
場合頭部保護性能評価は歩行者の頭部がボンネット、フロントウィンドウに衝突した場合、歩行者脚部保護性能評価は歩行者の脚部がバンパー付近に衝突した場合を、大人と子どもの場合に分けて試験されています。
歩行者頭部保護性能評価 | レベル4 | 2.75点 |
歩行者脚部保護性能評価 | レベル5 | 4.00点 |
Aピラー付近は車内空間を守るためにどうしても強度が強くなっていますが、それ以外の箇所は衝撃吸収ボディとなっているので、頭部はレベル4、脚部はレベル5と高得点を出しています。
PSBR評価 : レベル 1 / 5 0.8点 / 8点
試験の概要については以下ページをご覧ください。
セレナでは、運転席にはインパネ部などへの警告表示機能と音による警報機能がついていますが、助手席には警告表示のみで警報装置はついていません。
また後席にはPSBR機能がまったくついていないため、レベル1にとどまっています。
予防安全性能アセスメント
2016年度の予防安全性能アセスメントにおいて、71点中71点満点で最高評価の『ASV++(ダブルプラス)』を獲得しており、予防安全性能において高い評価となっています。
ただし、試験車両は、「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」「LDW(車線逸脱警報)」「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)」搭載したハイウェイスターモデルとなっています。
「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」「LDW(車線逸脱警報)」の2つは全グレードとも標準装備となっています。
「インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)」はメーカーオプション(セーフティパックA、B、C)となっており、セレナX、セレナハイウェイスターの2つのグレードでは装備できないので注意しましょう。
セレナの予防安全性能アセスメント試験結果詳細はこちら(PDF)
予防安全装置 | 装備 | 検出装置 | 確認作動域 | ポイント |
被害軽減ブレーキ(対車両) | 標準 | カメラ | 10~60km/h | 32.0 / 32.0 |
被害軽減ブレーキ(対歩行者) | 標準 | カメラ | 10~60km/h | 25.0 / 25.0 |
車線はみ出し警報 | 標準 | カメラ | 60km/h~ | 8.0 / 8.0 |
後方視界情報 | オプション | カメラ | – | 6.0 / 6.0 |
被害軽減ブレーキ(対車両)
セレナの被害軽減ブレーキは「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」という名称で、全グレードに標準装備されています。
カメラで前方の車両や歩行者を検知し、衝突の可能性が高まると、インパネへの警告表示とブザーによる警報で知らせます。
ドライバーが安全に減速できない場合には、自動的に緊急ブレーキを作動し、衝突を回避、または衝突時の被害を軽減します。
先代モデル(C26セレナ)では、時速20~30kmでの走行時になんとか止まるというレベルでしたが、新型セレナC27では、時速50~60kmでの走行時でも衝突を回避できるようになっています。
これは大きな進化ですね。
時速50kmでの対停止車両の被害軽減ブレーキ試験
時速60kmでの対低速走行車両の被害軽減ブレーキ試験
被害軽減ブレーキ(対歩行者)
時速60kmでの対歩行者(大人・遮蔽物なし)の被害軽減ブレーキ試験
時速40kmでの対歩行者(子ども・遮蔽物なし)の被害軽減ブレーキ試験
時速45kmでの対歩行者(大人・遮蔽物あり)の被害軽減ブレーキ試験
時速40kmでの対歩行者(子ども・遮蔽物あり)の被害軽減ブレーキ試験
車線はみ出し警報
セレナの車線はみ出し警報は、「LDW(車線逸脱警報)」として全グレードに標準装備されています。
LDW(車線逸脱警報)は走行車線を逸脱しそうな場合に、インパネへの警告表示とブザーによる警報のみですが、「X Vセレクション」「G」「ハイウェイスターVセレクション」「ハイウェイスターG」の4グレードのみに装備できるメーカーオプション「インテリジェント LI (車線逸脱防止支援システム)(セーフティパックB)」だと、車線内に戻す動作を自動的に短時間発生させてくれます。
後方視界情報
セレナのバックモニターは標準装備では搭載されておらず、オプション設定となっています。
NASVAの評価試験はインテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)を装備した車両で実施されています。
バックモニターを装備すれば近接・近傍・遠方とも十分な視界を確保しています。
試験結果 : 6.0点 / 6.0点
試験 | 視対象物位置 | 評価点 |
近接視界 | A | 1.0 |
B | 1.0 | |
C | 1.0 | |
近傍視界 | D | 1.0 |
E | 1.0 | |
遠方視界 | F、G、H | 1.0 |
近接視界
近傍視界
遠方視界
セレナの主要な安全装備を解説
セレナでは主要な安全装備をパッケージングした「セーフティパック」をA、B、Cの3種類メーカーオプションで用意しています。
それぞれに装備内容やオプション設定できるグレードに違いがあるので詳しくは以下ページにて解説しています。
[セレナのセーフティパックについて(作成中)]
予防安全装備
インテリジェント パーキングアシスト(駐車支援システム)
駐車が苦手!という方にはうれしい機能です。
ボタンひとつでセレナが自動でハンドルを操作し、駐車枠の中への駐車動作をサポートしてくれます。
縦列駐車にも対応しています。
装備 | メーカーオプション セーフティパックB セーフティパックC |
装備可グレード | X Vセレクション G ハイウェイスターVセレクション ハイウェイスターG |
インテリジェント ルームミラー
車両後方についているカメラ映像をルームミラーに映し出す機能。
車内に乗っている人や大きな荷物などで遮られルームミラーで後方が見にくいときに起動させれば、後方の映像をクリアに見ることができます。
装備 | メーカーオプション セーフティパックB |
装備可グレード | X Vセレクション G ハイウェイスターVセレクション ハイウェイスターG |
インテリジェント アラウンドビューモニター(移動物 検知機能付)
車両全体を上空から見下ろしているような映像を映し出し、障害物の多い場所や狭い場所での駐車をサポートする機能。
さらに、移動物検知機能が付いているので歩行者や自転車などが近づくとブザーで知らせてくれます。
装備 | メーカーオプション セーフティパックA セーフティパックB セーフティパックC |
装備可グレード | S X Vセレクション G ハイウェイスターVセレクション ハイウェイスターG |
インテリジェント エマージェンシーブレーキ
いわゆる自動ブレーキです。
走行時に前方の歩行者や車両をカメラで検知し、衝突の可能性が高まるとブザーと警告表示で回避操作をドライバーに促し、衝突の危険があると判断されると、自動的に緊急ブレーキが作動、衝突を回避または衝突時の被害を軽減する機能です。
全グレードに標準装備
踏み間違い衝突防止アシスト
アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進や衝突を回避する機能です。
壁だけでなく、コンビニなどのガラスも検知してくれます。
全国各地でアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故が多発していますので、踏み間違い衝突防止アシストが付いていると安心ですね。
装備 | メーカーオプション セーフティパックA セーフティパックB セーフティパックC |
装備可グレード | S X Vセレクション G ハイウェイスターVセレクション ハイウェイスターG |
LDW(車線逸脱警報) / インテリジェント LI (車線逸脱防止支援システム)
車線をはみ出しそうな場合に、警告表示とブザーでドライバーに注意を促してくれる機能がLDW(車線逸脱警報)です。
さらに注意を促すだけでなく、車線内に戻す動作を短時間自動的に発生させる機能がインテリジェント LI (車線逸脱防止支援システム)です。
全グレードに標準装備
進入禁止標識検知
進入禁止の標識をカメラで検知し、誤って進入しそうになった場合に警告表示とブザーでドライバーに知らせ、一方通行路などの逆走を防ぎます。
装備 | メーカーオプション セーフティパックA セーフティパックB セーフティパックC |
装備可グレード | S X Vセレクション G ハイウェイスターVセレクション ハイウェイスターG |
インテリジェント DA(ふらつき警報)
ハンドル操作から運転者の注意力が低下しているとシステムが判断した際にドライバーに休憩を促してくれる機能です。
装備 | メーカーオプション セーフティパックA セーフティパックB セーフティパックC |
装備可グレード | S X Vセレクション G ハイウェイスターVセレクション ハイウェイスターG |
VDC(ビークルダイナミクスコントロール[TCS機能を含む])
滑りやすい路面の走行時や、カーブを曲がる際、障害物を避ける際に、ブレーキやエンジンの出力を自動的に制御し、車両の横滑りを軽減してくれる機能です。
全グレードに標準装備
プロパイロット
高速道路での渋滞時や高速巡航時に、ハンドル操作、アクセル、ブレーキの制御を自動で行ってくれる自動運転機能です。
自動運転レベルは2で部分的な自動運転となっているので、完全自動運転のレベル4とは異なり、完全お任せというわかにはいきませんが、それでも高速道路での運転は格段に楽になるでしょう。
装備 | メーカーオプション セーフティパックB |
装備可グレード | X Vセレクション G ハイウェイスターVセレクション ハイウェイスターG |
衝突安全装備
高強度安全ボディ(ゾーンボディ)+歩行者傷害軽減ボディ
万が一の衝突時に相手車両や歩行者に与える衝撃を和らげつつ、乗員が乗っているキャビン部分の強度を増して保護するボディです。
全グレードに標準装備
エアバッグ
運転席と助手席にはSRSエアバッグシステムが標準装備となっています。
これは一般的な前方から出てくるエアバッグですね。
SRSカーテンエアバッグシステム&サイドエアバッグシステムがメーカーオプションとなっています。
SRSカーテンエアバッグシステムは前席から2列目・3列目にかけての窓側の天井部に格納されており、万が一、側面から衝突された場合に、頭部を保護します。
サイドエアバッグシステムは運転席・助手席のシート窓側に格納されており、万が一の側面から衝突の際に胸部を保護します。
SRSカーテンエアバッグシステム&サイドエアバッグシステム | |
装備 | メーカーオプション セーフティパックB セーフティパックC |
装備可グレード | X Vセレクション G ハイウェイスターVセレクション ハイウェイスターG |
まとめ
5代目となる新型セレナ(C27)は、実際に衝突してしまったときの安全性、衝突を回避するための予防安全性どちらにおいても非常に高いレベルにあると言えます。
特にエマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)の性能は非常に高く、時速50~60kmでの走行時においても衝突を回避できるのはさすがです。
全グレードに標準装備なのもうれしいポイント。
その他のメーカーオプションになっている安全装備もセーフティパックというパッケージにまとめられているにも分かりやすいです。
ミニバンは小さな子どもを乗せるユーザーが多いファミリーカーですので、新型セレナの安全性の高さは大きなポイントですね。
2017年度上半期(2017年1月~6月)の販売台数は54,344台で、ミニバンで一番売れているのも納得の安全性能の高さです。
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