3代目アルファード後期型(2018/1のマイナーチェンジ後)の安全性能と搭載されている安全装備について解説&評価をしています。
公的機関によるアルファードの安全性能評価
国土交通省と独立行政法人「自動車事故対策機構」が実施している「自動車アセスメント」と「予防安全アセスメント」の試験結果からアルファードの安全性能を考えてみます。
自動車アセスメント(衝突安全性)
自動車アセスメントの衝突安全性試験結果を踏まえてアルファードの安全性能について解説しています。
自動車アセスメントの試験結果公式ページは以下です。
評価試験対象車種 | トヨタ アルファード/ヴェルファイア |
試験車 | ヴェルファイア Z ”Gエディション” |
発売 | 2015年1月~(現行モデル) |
型式 | DBA-AGH30W |
排気量 | 2,493cc |
車両重量 | 2,010kg |
全長×全幅×全高 | 4,935×1,850×1,880mm |
タイヤ | 235/50R18 97V、TOYO TRANPATH R30 |
現在、自動車アセスメントでの評価車は2018/1のマイナーチェンジ前の前期型のままとなっています。
マイナーチェンジによってトヨタセーフティセンスが全車標準装備となるなど、予防安全装備については進化があったものの、衝突安全性能については特に変化がないため、前期型と同じと考えて大丈夫でしょう。
新安全性能総合評価 : 182.9点 / 208点
試験結果は平成27年(2015年)実施分です。
総合評価点は208点萬点中182.9点というかなりの高得点となっています。
ちなみに平成27年度の最高得点はマツダ・CX-3の188.2点です。
総合点の内訳は「乗員保護性能評価」「歩行者保護性能評価」「PSBR評価」の3つに分かれています。
自動車事故対策機構では、自動車アセスメント試験で総合170.0点以上の自動車に対し、「JNCAPファイブスター賞」を授与しています。
平成27年度はホンダ ジェイド、トヨタ シエンタ(SCA付)、ホンダ シャトル、ホンダ ステップワゴン、マツダ CX-3等がファイブスターを授与されています。
ただし、このファイブスターの授与が2016年5月であり、アルファード/ヴェルファイアの自動車アセスメント試験が実施されたのが2016年7月8日だったため、アルファードにはファイブスターは授与されていません。
衝突安全性能においてアルファードは非常に安全性能が高いということが公的な試験でも認められている形となっています。
乗員保護性能評価 : 88.77点 / 100点
フルラップ前面衝突試験
フルラップ前面衝突試験では運転席・助手席ともに12点満点中10.73~10.76点という非常に高得点を出しています。
運転席 | レベル5 | 10.73点(89.5%) |
助手席 | レベル5 | 10.76点(89.7%) |
オフセット前面衝突試験
運転席に男性ダミー人形、後部座席には女性ダミー人形を乗せた状態で運転席側の一部(オーバーラップ率40%)を前面衝突させた試験です。
車体の変形が激しくなる試験ですが、この試験でも高得点を出しています。
運転席 | レベル4 | 10.44点(87.0%) |
後席 | レベル5 | 10.51%(87.6%) |
側面衝突試験
側面衝突試験では12点満点となっています。
ミニバンは側面衝突に弱いと言われがちですが、アルファードにおいては当てはまりません。
運転席 | レベル5 | 12.00点(100.0%) |
後面衝突頚部保護性能試験
同じトヨタのミニバン「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」がレベル5を出している中、アルファード/ヴェルファイアはレベル3と後面衝突においては少し心配があります。
運転席 | レベル3 | 8.56点(71.3%) |
助手席 | レベル3 | ↑ |
歩行者保護性能評価 : 90.19点 / 100点
万が一、歩行者を轢いてしまった場合に歩行者の頭部と脚部に与える衝撃試験も高得点となっています。
アルファードではボンネット部、カウル部、フェンダー部、バンパー部を衝撃吸収構造とする歩行者傷害軽減ボディとなっています。
歩行者頭部保護性能 | レベル5 | 3.54点 |
歩行者脚部保護性能 | レベル4 | 4.00点 |
PSBR評価 : レベル 2 / 5 4.0点 / 8点
PSBR(パッセンジャーシートベルトリマインダー)の装備状況の評価です。
人が乗っていて走行し始めたにもか変わらずシートベルトをしていない場合に警告を出す機能ですね。
アルファードは前席(運転席&助手席)にはPSBRは付いていますが、後席(2列目・3列目)にはELR付3点式シートベルト(フロントシートプリテンショナー+フォースリミッター機構付)が付いているものの、警告機能までは付いていないため4点にとどまっています。
予防安全性能アセスメント
自動車事故対策機構(NASVA)による予防安全性能アセスメントは2014年に開始されたばかりで平成27年(2015年)の試験対象車種は101車種あります。
ただし、アルファード/ヴェルファイアは試験対象車種に入っていないためNASVAによる予防安全アセスメントの結果はありません。
試験項目は公開されているのでアルファードの予防安全装備と照らし合わせて簡単に評価してみます。
試験項目 | 有無 | 予想評価点 |
被害軽減ブレーキ(対車両) | 有り | 32.0点 |
被害軽減ブレーキ(対歩行者) | 有り | 25.0点 |
車線逸脱抑制 | 有り | 16.0点 |
後方視界情報 | 有り | 6.0点 |
※あくまで当サイトの予想する評価点であり、NASVAによる実際の点数ではありません。
総合評価点は79.0点と恐らく満点を獲得できるのではないかと思います。
被害軽減ブレーキ(対車両)
いわゆるブレーキアシストや自動ブレーキと言われる機能ですね。
前方の車や障害物を検知し、衝突の危険性が高い場合に自動で減速したりブレーキをかけたりして衝突を回避します。
トヨタでは、「プリクラッシュセーフティシステム」という名称で、トヨタセーフティセンスのパッケージに含まれています。
新型アルファードでは、トヨタセーフティセンス(第2世代版)が全車標準装備となったので、全グレードに標準装備となっています。
被害軽減ブレーキの検出装置は「カメラ」「レーザーレーダー」「ミリ波レーダー」の3種類ありますが、アルファードはミリ波レーダー方式+単眼カメラとなっています。
被害軽減ブレーキ(対車両)の配点は32点満点となっています。
あくまで当サイトの予想ですが、アルファードは恐らく32点評価となるのではないかと思います。
被害軽減ブレーキ(対歩行者)
新型アルファードでは、歩行者(昼夜)、自転車(昼)をミリ波レーダーと単眼カメラで検出することができるようになっています。車線逸脱抑制
被害軽減ブレーキ(対歩行者)の配点は25.0点満点となっており、こちらも新型アルファードなら満点評価を取れるのではないかと思います。
車線逸脱抑制
いわゆるLDA(レーンディパーチャーアラート)、LKA(レーンキーピングアシスト)と呼ばれる機能です。
道路の白線(黄線)をカメラで認識し、車線に沿った走行をしやすいようステアリング操作をアシストする機能がLKA、ウィンカー操作を行わずに車線からはみ出しそうになったときに警報を出す機能がLDAです。
トヨタのLDAにはステアリング制御機能も付いているので、車線をはみ出しそうになったときに自動で車線からはみ出さないようにアシストしてくれます。
新型アルファードにはLTA(レーントレーシングアシスト)という機能がついており、車線からの逸脱を警告したり、逸脱を避けるために自動でステリング操作をしたりしてくれます。
さらに高速道路などの自動車専用道路ではレーダークルーズコントロールとの組み合わせで、自動で車線に沿って走るようにステアリング操作をしてくれます。
よって車線逸脱抑制の評価点は16点満点となるでしょう。
後方視界情報
パノラミックビューモニター(左右確認サポート+シースルービュー機能付)は、エグゼクティブラウンジのみ標準装備、その他全グレードはメーカーオプションです。
インテリジェントパーキングアシスト2(巻き込み警報機能+バックガイドモニター機能付)は、エグゼクティブラウンジ以外の全グレードにメーカーオプションです。
予防安全性能アセスメントの他車の評価点を見てみると、メーカーオプションでも後方視界情報が装備可能であれば満点の6点がついているので、アルファードも6点となると予想されます。
ただし、パノラミックビューモニターもインテリジェントパーキングアシスト2もMOP(メーカーオプション)ナビの機能となっていて、パノラミックビューモニターは712,800円~、インテリジェントパーキングアシスト2は、637,200円とかなり高価ですので注意が必要です。
新型アルファード搭載の安全装備を解説
衝突安全装備
SRSエアバッグ
アルファードのエアバッグはグレードに関係なく全グレードに、
「SRSエアバッグ(運転席・助手席)」
「SRSニーエアバッグ(運転席)」
「SRSサイドエアバッグ(運転席・助手席)」
「SRSカーテンシールドエアバッグ(フロント・セカンド・サードシート)」
が標準装備となっています。
全席ELR付3点式シートベルト+全席ヘッドレスト
2012年7月に2列目・3列目の中央席を含む車内全席に3点式シートベルトの取り付けが義務化されていますので全席3点式シートベルトは当たり前っちゃあ当たり前ですが付いてます。
また全席ヘッドレストはまだ義務化はされていないですが、新型アルファードでは2列目・3列目の中央席を含む全席にヘッドレストがついています。
ヘッドレストがあるとないとでは、万が一の事故時の頚部・頭部にかかる衝撃がまったく違ってきますのでこれは乗り心地だけでなく安全性の面でも大きな装備です。
アジャスタブルシートベルトアンカー、フロントシートプリテンショナー、フォースリミッター機構付。
歩行者傷害軽減ボディ
ボンネット部、カウル部、フェンダー部、バンパー部に衝撃吸収素材を採用し、構造にも空間を持たせ衝撃時につぶれやすくして歩行者への衝撃を軽減するなど衝撃吸収構造となっています。
汎用ISOFIX対応チャイルドシート固定専用バー+トップテザーアンカー(セカンドシート左右席)
国際標準化機構(ISO)規格の汎用ISOFIX対応となっています。
全方位コンパティビリティボディ構造
正面衝突、側面衝突、後面衝突の全方位において、車重や車高の異なるクルマ同士が衝突した場合に、自車だけでなく相手の車に対する衝撃も低減する構造となっています。
予防安全装備
トヨタの予防安全装備にはトヨタの衝突回避支援パッケージ「トヨタセーフティセンス」があります。
プリクラッシュセーフティシステムやオートマチックハイビームなどの予防安全装備がパッケージになって複数装備されているものです。
新型アルファードには、進化したトヨタセーフティセンス第2世代版が全グレードに標準装備となっています。
プリクラッシュセーフティ(ミリ波レーダー方式+単眼カメラ)
プリクラッシュセーフティシステムは、前方の車や歩行者等を検知し、遅い速度でも速い速度でも衝突を回避したり、被害の軽減をサポートしてくれる安全のためのシステムです。
衝突の危険を感じたらブザーとディスプレイ表示の両方でいち早く知らせ、運転手にブレーキ操作を促します。
ブレーキを踏んだ場合は、プリクラッシュブレーキアシストが作動し、ブレーキをかけた分だけでなくアシストしてくれるからぶつかる心配が軽減することになります。
ブレーキが間に合わなかった場合は、自動ブレーキであるプリクラッシュブレーキが作動し衝突回避をサポートしてくれます。
新型アルファードでは、車両はもちろん、歩行者(昼夜)、自転車(昼)の検知も可能となっています。
搭載グレード
全車標準装備
ハンドル操作サポート(レーントレーシングアシスト[LTA])
車線から逸脱しそうになったときに警告を発したり、逸脱しないように自動でハンドル操作をしてくれたりします。
さらに高速道路などの自動車専用道路を走行中に、レーダークルーズコントロールとの組み合わせで、車線に沿って走るように自動でハンドル操作をしてくれます。
レーダークルーズコントロール(追従ドライブ支援機能)
先行車を認識し、車速に応じた車間距離を保ちながら走るように自動でアクセル操作をしてくれます。
自動ハイビーム(アダプティブハイビームシステム[AHS]、オートマチックハイビーム[AHB])
LEDの点灯・消灯を自動で制御することで、先行車や対向車に光が当たる部分だけを自動的に遮光できるシステムがダプティブハイビームシステムです。
オートマチックハイビームは、夜間走行時に周囲の明るさをセンサーが自動的に感知し、ハイビームとロービームを自動で切り替えてくれる機能です。
前の車や対向車、街路灯などを感知すると自動でロービームに戻してくれます。
標識読み取りディスプレイ(ロードサインアシスト[RSA])
カメラで標識を認識し、ドライバーに注意を促すようディスプレイに表示・告知してくれる機能です。
インテリジェントクリアランスソナー(8センサー)
駐車場などの車庫入れ時(約10km/h以下)に、超音波センサーにより障害物への衝突危険性を感知し警告してくれる機能です。
さらに、障害物を検知している際には、エンジン出力を抑制し、衝突の危険性が高まったときには自動的にブレーキをかけてくれます。
センサーの数が8個から6個になり警告のみで運転制御まではしないクリアランスソナー&バックソナー(6センサー)もあります。
搭載グレード
インテリジェントクリアランスソナー(8センサー)は、エグゼクティブラウンジに標準装備、その他全グレードにメーカーオプション。
クリアランスソナー&バックソナー(6センサー)は、エグゼクティブラウンジ以外の全車に標準装備。
ドライブスタートコントロール
アクセスを踏み込んだまま誤ってシフト操作をして急発進・急加速をしてしまうトラブルを軽減する機能です。
全グレードに標準装備。
LEDコーナリングランプ
夜間にヘッドランプを付けて走行している際、交差点等での右左折時に左右の歩行者等を確認しやすいようコーナリングランプが自動で点灯します。
搭載グレード
エグゼクティブラウンジに標準装備
その他グレードにはメーカーオプションまたは取り付け不可
VDIM
VDIMとは車両の挙動を安定させる為の先進の車両運動制御技術です。
理想的な操縦性・走行安定性と、高い予防安全性を高次元で両立し、「走る・曲がる・止まる」を統合的にコントロールし走行安定性を確保する大変優れた技術となっています。
ABS、ブレーキアシスト、TRC(トラクションコントロール)、VSC(車両安定性制御システム)の4つに含まれる多くの機能を統合し、制御することで、より効率的に事故の低減を計っています。
ABSは、タイヤの状態を常に観察することでブレーキの圧力動作を非常に短い時間で繰り返すことによりステアリング操作を容易にし、車両停止性を確保する優れものです。
トラクションコントロールは、常にタイヤと路面との接地状態を監視することで、駆動輪の空転を検知し、ブレーキをかけたり、エンジン出力を抑えることによりタイヤの空転を抑え、接地性を確保しふらつきを防止するのです。
VSCは横滑りを抑え、車を安定させるシステムです。
横滑りをセンサーが検知し、四輪個々のブレーキ、エンジン出力を制御することで車両の安定性を確保する技術です。
上記の技術により、タイヤロック、急発進、急加速による横滑り、カーブでの突然のスピンでの事故発生率を格段に下げることが可能となっています。
S-VSC
滑りやすい路面などで車の挙動が不安定にならないよう、ステアリング制御(EPS)、ブレーキ制御(VSC、ABS)、駆動力制御(VSC、TRC)を自動で連動させ走行安定性を確保する機能です。
ガソリン車に標準装備。
EBD付ABS+ブレーキアシスト
アルファードだけでなく最近の新車だとたいていEBD付ABSが標準となってきています。
EBDとは電子制御制動力配分システムといって前後左右のブレーキバランスを自動的に調節し、制動性やコーナリングの安定性に重要な働きをしています。
ABSは急ブレーキ時にタイヤがロックするのを防ぎ、ハンドル操作をしやすくする機能です。
緊急ブレーキシグナル
急ブレーキをかけると自動でハザードランプが点滅し後続車に追突されるリスクを低減させます。
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